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 エッセイ「日々好陶」/稲城陶芸新聞を掲載します。左下のカテゴリーでご覧ください
ガスコンロ「お前もか」


 街路樹のハナミズキが紅く染まり歩く人の足元も心も明るく照らし始めた。コロナウイルス感染者の減少をテレビで報じ、ロクさんの教室にもメンバーさんが帰ってきて賑やかになり、ロクさんも少しほっとした気分になった。

 夕方家に帰るとカミさんのナナコさんがガスコンロの調子が悪いと困った顔をしている。「どこが悪いの」と訊くと魚を焼くときに使うグリルが壊れたと言う。ガスコンロはガス漏れなどしたら大変なので換えたらとロクさんは気軽に言った。

ロクさんがこのマンションに越してきたのはサラリーマンをしていた50歳の22年前、その頃はピカピカの最新のマンションも22年経ち障子は継ぎ接ぎだらけ、畳は赤茶け貧乏長屋の様相を呈してきた。使っている家電や機材にも故障が相次ぎ、今年になって冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、ガス給湯器を交換した。都市型のマンションは使っている電化製品などの機材も立派なものが多く値段が高い。

山の中で育ったロクさんは、ガスコンロは昔ながらのホースからガスをひいてコックを廻しながらマッチでシュとつける式で充分だと思っている。出来るだけ台所はカミさんの聖域なので入らないようにしているが改めて見るとガスコンロ三台テーブルに埋め込んだ形になっていて真ん中に魚を焼くコンロがついている最新式なのである。

 定休日の金曜日にホームセンターに出かけた。台所製品をあつかうコーナーに行きガステーブルを見た。ロクさんが想像していたよりはるかにきらびやかなコンロが並んでいた。定員さんの説明を聞いているとガスコンロで何でも料理が出来てしまいそうだが、ボタンが沢山あり操作が難しそうにも感じた。温度調整機能は自動で温度を160度から210度まで10度きざみで調節できる。湯沸かし機能は自動で感知して保温、消火する。コンロタイマー機能では、設定した時間で自動消火。パスタなど麺類を茹でるときや煮物や煮込み料理、茹で野菜などもできる。グリル機能では両面焼きができるのでひっくり返す必要がない。究極では炊飯機能だ。「ごはん」と「おかゆ」の二つのモードがあり、ご飯は「始めチョロチョロ中パッパ、じゅうじゅう吹いたら火をひいて、一握りのワラ燃やし、赤子泣いても蓋とるな」とカマドで炊くときの教えどおりにコンロが勝手にコントロールするという。近頃のコンロは偉いものである。このコンロがあれば何でも料理ができてしまう。説明を聞きながらロクさんは「オレは料理が出来なかったがこれがあればできるかもしれない」と呟いた。

店員さんから説明を聞き、一番安いガステーブルを購入した。そのまま抱えて持ち帰り、ホースにつなげば使えるようになると思っていたら、業者が来て工事が必要という。サラリーマン時代、転勤族だったロクさんは引っ越しの度、ガス屋さんに来てもらった記憶がない。都市ガスかプロパンガスでコンロが違い、その度、ホームセンターに行って購入し自分で取り付けた。二十二年間にガスコンロが進化したらしい。

進化するのは良いことだが全てが高額で交換するたびに年金から大枚が飛んで行ってしまう。取り付けの終わったピカピカのガスコンロに向かって「ガスコンロよ、お前もか」とロクさんは呟いた。

 




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2022⁄01⁄06(Thu) 17:44   エッセイ | Comment(0) | | ↑Top
稲城陶芸新聞No145


稲城陶芸新聞No145

1月号2021陶芸クラブいなぎ 

稲城市東長沼2101-6 206-0802

      安東道正

連絡先 090-5394-3888

a.n.do.11@softbank.ne.jp

 ホームページ「陶芸クラブいなぎ」  http://inagitgc.html.xdomain.jp/

 


シェア工房(年中無休)

陶芸クラブいなぎ

自由にいきいき陶芸

 

あけましておめでとうございます

新しい年だ!
何かを始めよう

陶芸

体験陶芸
 3000円

 

 

 

◇教室ニュース

〇今月のイベント

お雛様を作る

 

○インターネット市民文化祭 公開中

 *稲城市芸術文化団体連合会

入荷

 

〇黄瀬戸釉薬 入荷

 

〇黄瀬戸油揚げ手 釉薬 入荷

■やきもの豆知識

木挽(こびき)の技

在の製材業、製材作業者。かつて手作業で大木

から板を切り開く作業に従事した職業名。木挽は4kgある大鋸で大木を切り開いた。4kgの大鋸を使うに

は「力三分に技七分」と言われた。これはロクロを挽

くときのコツと同じだ。

大丸太の木から木目が綺麗に出るように挽く技

が必要。木にもいろいろあってアブラミを含みね

っとりしているのが最良とされる。恵まれた環境で育った真っ直ぐ、年輪も等間隔ななものは面白くない。養分が足りなかったり風当たりが強かったり揉まれて育った木は味わいがあり美しい木目がでる。林似一という木挽き職人の話である。

陶芸の世界も同じである。達人になると粗い土や

腰のない土をロクロ挽きし味わいのある作品をひねり出す。

あ・人間も同じかもしれない!工房が寒く、水が

冷い劣悪な環境こそ達人芸術家になる道なのだ

 

■やきもの談義

世田谷ボロ市

昨年に続き今年も世田谷ボロ市は中止になった。

 世田谷ボロ市は400年前、小田原城を本拠とした北条氏政が楽座として開いたのが始まり。

 楽市楽座は織田信長が城下町安土で産業振興のため税金免除で自由参加の市を開き、城下町を繁栄させた自由政策。

 この頃、江戸は北条氏の支城で小田原と江戸を結ぶ矢倉沢征還の中間点の世田谷を重視して今のボロ市通りに新しい宿を開いて楽市をおいたもの。当時は月に八日間、六斎しとして定期的に開かれ大変な賑わいだった。暮れと正月15日、16日になったのは明治5年から。

 かつてポケットマネーで買った絵が鑑定され1500万円の値がついたことがあった。茶碗の掘り出し物もあるそうだ。来年(2023年)は開催してほしいものだ。

 

茶道具 茶碗 大嶋久興 作 黄瀬戸茶碗 /【Buyee】 "Buyee" Japanese Proxy Service | Buy from  Japan! bot-online 黄瀬戸 油揚げ手

 

陶芸家弓さん

カワラケの注文

元旦の零時、弓さんは青渭神社の参道

に並び参拝をした。昨年までとは違いもの凄く温かい気分で参拝できた。昨年 弓さんは地域の活動が認められて町にある青渭神社と八坂神社の氏子に加えてもらった。

転勤族の弓さんだったがこの町に越し

てきて13年、定年後 陶芸教室を立上げ4年ですっかり地域の人々になじんだ。もともとツリアガリモンの弓さんはお祭りが大好き人間。ツリアガリモンとは弓さんの出身地のお調子者のことをいう。  

盆踊りに参加したり夏祭りの芸能大会で歌ったり秋祭りの芝居に参加したりと地域の行事には必ず顔をだしてすっかり町の人から覚えられてしまった。神社の甘酒を一杯いただいた。済みきった青空に星がきらめいた。

朝、目覚めると雑煮が出来上がっていた。

弓さんっちの雑煮は鶏肉、大根、ごぼう、

人参、セリなどを具材として薄口醤油の澄

まし汁に角餅が入っている。今年は故郷の

友人が大量の丸餅を送ってくれた。

故郷をでて40年以上経ちすっかり角餅

になれてしまっていたが丸餅をみた瞬間、

弓さんは「これが本当の餅じゃ」といった。

「餅は一個いっこ手で丸めて角をとって

一年が無事に暮らせるんじゃ」と言い

ながら嬉しそうに餅を頬張った。

雑煮の具材、餅の形、味付けは、地域や

家庭によって違いがある。具材は餅と菜だけのところがあったり餅がはいらないとこ

ろもあったりまちまち。味付けも澄まし汁

仕立て 味噌仕立て 小豆汁仕立てがあ

り澄まし汁だけでも塩味仕立て薄口醤油 

濃口醤油 白醤油あり家庭ごとの雑煮が

ありそうだ。

雑煮を食べて午前十時から行われる八坂

神社の元旦祭の式典に出席した。三十分の

例祭が終わるとお神酒が振舞われた。神主

さんも加わり賑やかな宴会になった。「弓

さん 一杯どうぞ」と注がれて弓さんは嬉

しくてたまらずドンドン湯呑に注がれた

お神酒をいただいた。宴会が盛り上がると

氏子の代表が「弓さんこの湯呑茶碗じゃ折

角のお神酒のご利益がなくなりそうだな。

弓さん、カワラケを拵えてもらえないだ

ろうか」と嬉しい注文を200枚いただい

た。弓さんは「わかりました。作りましょ

う」といってスキップしながら帰っていっ

た。帰って的ちゃんに報告すると「いくら

で請けおったんな」と言われ「それ決める

の忘れちょった」と頭をかいた。

「陶芸家弓さん」はサラリーマンから陶芸家になった弓さんが主人公の小説です。

 

陶遊 1月号 No188

 

 *工房で販売しています

 

◇大人も楽しめるお雛様   p6

 

◇丈夫で長持ち簡易金継  p34

        

◇奈良の白洲正子茶会   p66

 

◇セトモノ語り      p83

 

◇進化する陶芸機材と材料 p87

 

 

新作販売中

    

   縁起物
左馬茶碗

      







2022⁄01⁄02(Sun) 21:01   稲城陶芸新聞 | Comment(0) | | ↑Top
陶芸新聞12月号2021年 No144


稲城陶芸新聞No144

12月号2021陶芸クラブいなぎ 

稲城市東長沼2101-6 206-0802

            安東道正

連絡先 090-5394-3888

a.n.do.11@softbank.ne.jp

 ホームページ「陶芸クラブいなぎ」  http://inagitgc.html.xdomain.jp/

 


シェア工房(年中無休)

陶芸クラブいなぎ

思いきり陶芸

 

〇会員募集

◆自分工房として自由に作陶できます

 

〇体験陶芸できます

  大人 3000円(焼成費・材料費込み)

  

年末年始のお知らせ

27日 大掃除

 

30日 しめ縄作り

 

〇正月休暇12月31日~1月4日

 

〇作陶人数は通常に戻します。

 マスクの着用、窓の解放のご協力をお願いいたします。

 

〇インターネット文化祭に参加します。

 参加を希望される方は写真の提出を

 お願いします。

 写真又はファイルでお願いします

 

ルリ釉調合しました   

 

〇左馬の茶碗→初窯で焚きます

 

 

■やきもの豆知識

技巧よりゆたかさ

 京都の庭師は、大きな石を庭に入れたとき、その何十分の一を土の上に出してほとんどの部分が土の中に埋め込む。庭を見るにはその石の下をおもえ。庭を鑑賞するときの心得だそうだ。

 やきものも年配になって作り出す器はその人を辿った人生そのものを表現している。土の下に埋もったものを見抜くような豊かな目を養うことが大切だ。物の評価は所詮自分が好きか嫌いかで決まる。本来の良し悪しなんてわからない。

 技巧のみ追い続けるのを良しとするより平凡でもほっとする手作りの味を大切にしたい。それを評価するゆたかな心と目を大切にしたいものだ。

 

やきもの談話室

底割れ

 大壺の底に亀裂が入ることはよくある。割れる原因は急いで乾燥させたことにある。割れた作品は底の部分が厚めにできている。削って仕上げた作品は上部から乾燥が始まり高台付近が、最後に乾燥が始まる。高台は外側から乾燥が始まり高台内の中心部分が残される。粘土は乾くとき水分を放出して縮んでいく。外側が先に乾いて縮んでしまい中心部が乾燥して縮もうとするとき乾燥の終わった外側が一緒に縮んでくれない。仕方がなく中心部をパックリと開いて収縮を完了させる。

 中心部が薄ければこの時の時間差が少なく危険がすくない。厚く仕上げると危険が大きい。

 大物の底割れを防ぐ方法として乾燥された板や床に置かずビニールを敷いてゆっくりと全体を均等に乾かすのがコツ。

 コーヒーカップや取手のついた器は発泡スチロールの箱に入れてゆっくり乾かせば危険が少ない。

 

陶芸家「弓さん」

注連縄(しめなわ)

年の瀬に最強の冬将軍が弓さんの工房を取り囲んだ。二台ある灯油ストーブを全快にしても冬将軍の強烈な息が隙間からもぐりこんでくる。弓さんは「冬はこうでなくちゃー」とつぶやく。弓さんの子供のころ、年の瀬は寒くてさむくてたまらなかった。寒いが正月にはお年玉がもらえる。一年で一番のご馳走が食べられる。「今の子供たちは一年中昔の正月料理のようなご馳走を食べちょる。かわいそうなもんじゃ」弓さんは自分の子供のころに比べて今の子供たちは幸せすぎて不幸じゃないかと思う。

毎年、年末になると弓さんは注連縄を作る準備を始める。弓さんの町は稲作が盛んで注連縄に使うワラには不自由しない。農協から一束100円のワラを買ってきて比較的緑の残った穂を選ぶ。中に穂のついたワラを見つけると先っちょにくくりつけるとよりご利益のある注連縄ができあがる。

弓さんの工房は年末になると誰も寄り付かなくなり閑散としている。ゆったりした時間に弓さんは注連縄を一つひとつ丁寧に作っていた。今年はどうしたことかメンバーさんたちの作陶意欲がすごく毎日盛況な日々が続いている。弓さんは空いた時間に注連縄を作るのだがメンバーさんから呼ばれて作業が中断する。「忙しすぎるのも困ったものじゃわい」と昨年までのことを考えるとぜいたくなことをつぶやいている。

注連縄は神域と現世を隔てる結界の役割をもつ。また神社の周り神体を縄で囲いその中を神域としたり厄や禍を祓ったりする意味もある。御霊代依り代として神が宿る印ともされる。注連縄は正月に家々の門や玄関に飾られる。一年の厄や禍を祓う結界の意味をもつ。

若い頃の弓さんは、信心深い人でなかった。近所の家が飾ってあるのをみて何にもしないのではよい年が迎えられないような気分になり飾り始めた。自作の注連縄など思いもよらずスーパーか露店で買った。

注連縄を作れるようになったのは、立川の工房で出会った80歳の現役大工のモロさんから作り方を教わったからだ。

工房を開いた4年前から正月に飾る注連縄を作り始めた。自宅用と工房用の二つ作る。注連縄のご利益があり何の厄や禍がなくここまでこられた。今年は年末まで賑わっている。出来上がった注連縄をメンバーさん達に「良い年をお迎えください」と言い渡した。見栄えは売り物に比べて良くないが皆嬉しそうにもらってくれる。

気が付くと家の分は残ったが工房に飾る注連縄が足りなくなった。弓さんは「もらってくださる人がいて ありがたいこっちゃ」とつぶやいた。

「陶芸家弓さん」はサラリーマンから陶芸家になった弓さんが主人公の小説です。

工房前の梅林、12月末に一輪二輪と花が咲く年があります

 

陶遊 NO187号 11月号

新発売

*工房で販売しています

あかり     p28

 

自宅陶芸のススメ       p24

 

透光性磁土でつくるタタラ灯り p54

            

目からウロコ塾        p72

                 

 

 

 







2021⁄11⁄29(Mon) 17:06   稲城陶芸新聞 | Comment(0) | | ↑Top
エッセイ再開のお知らせ


エッセイ「日々好陶」を再開します。
カテゴリー「稲城陶芸新聞」に毎月月初めに新聞を掲載します。






2021⁄11⁄04(Thu) 17:32   エッセイ | Comment(0) | | ↑Top
稲城陶芸新聞11月号


稲城陶芸新聞No143

11月号2021陶芸クラブいなぎ 

稲城市東長沼2101-6 206-0802

            安東道正

連絡先 090-5394-3888

a.n.do.11@softbank.ne.jp

 ホームページ「陶芸クラブいなぎ」  http://inagitgc.html.xdomain.jp/

 


シェア工房(年中無休)

陶芸クラブいなぎ

思いきり陶芸

 

〇会員募集

◆自分工房として自由に作陶できます

 

〇体験陶芸できます

  大人 3000円(焼成費・材料費込み)

  

お知らせ

〇作陶人数は通常に戻します。

 マスクの着用、窓の解放のご協力をお願いいたします。

 

〇インターネット文化祭に参加します。

 参加費:無料

 参加を希望される方は写真の提出を

 お願いします。

 写真又はファイルでお願いします

 

〇土鍋土20kg入荷しました

 

〇土鍋窯 11月末予定

 

〇招福2022年干支を作る

陶遊 p48

透明調合しました   

 

〇そば釉を調合しました

 

 

■やきもの豆知識

土鍋は育つ

水炊き、寄せ鍋、湯豆腐、おでん、しゃぶしゃぶ、柳川、牡蠣鍋、かまあげうどん、すきなべとこれから鍋の季節だ。鍋は保温のきく土鍋が一番適している。

土鍋に使う粘土は通常使う粘土と違う。急熱、急冷に耐えるため耐熱粘土を使う。この粘土には高熱に強いペタライトが含まれている。

土鍋の割れる原因は表面のすき間に水が入り込み急熱されると膨張してヒビがはいる。新車と同じで使い始めに慣らし運転が必要。はじめにおかゆを炊くとか小麦粉を煮るとかする。これで粗土の目をつめて水気の侵入を防ぐ。使い続けているうちに出汁などが浸みこんで土鍋は丈夫に育つと言われている。

 

やきもの談話室

ハンカチーフ

11月3日はハンカチーフの日。

今のハンカチの真四角形はフランスのマリ

ー・アントワネット(1755年~1793

年)が夫のルイ16世に進言して「フランス

のハンカチーフは全て正方形にしなくてはな

らないという法令を成立させた。そのスタイ

ルが世界に広まった。

「ハンカチーフの木

 

陶芸家「弓さん」(エッセイ)

カーシェアリング

天気予報士の「大した雪にはならないだろ

う」という予報をきいた冬将軍が本気で怒り出してブワーと白い息を吐き出した。二時間ほどで弓さんの町は雪で埋まってしまった。翌朝「えらいこっちゃ」と言いながら雪を掻き分けて工房に行くとポンコツの軽自動車は雪に埋まっていた。屋根とフロントガラスの雪を掻き落としてエンジンをかけて社内を温めた。車の周りの雪は凍りつきエンジンをかけても溶けなかった。

エンジンをかけたが乗ることはしない。時々 エンジンをかけないとバッテリーがあがってしまい、いざ乗ろうと思ったとき乗れずに苦労したことがある。車屋の社長から「車も人も同じ、日頃から動かさなければだめだよ」と言われている。

教室を開いてから弓さんは車に乗ること

が少なくなった。車を使うのは遠くの巨大ホームセンターまで粘土を買いに年3~4回使うのと近くのホームセンターに月2~3回灯油を買いに行くぐらいだ。軽自動車の走行距離は四年間で6000km。四年の間に車検代 税金 保険 修理代などの支払額がばかにできないくらい大きい。零細陶芸教室の経費としては大きすぎる。

「なんとかせにゃいかん」と思っているところで家の近くにカーシェアリングの看板を見つけた。看板に「15分200円から利用可能。ガソリン代も保険料も不要」とあった。予約も電話、携帯、PCの何れでも簡単にできる。長時間利用する時は、パック料金もある。弓さんはすぐに申し込んだ。

翌日から弓さんは茶碗屋を休業して車屋さんになった。メンバーさん達に「車はいりませんか。お安くしますよ」と売り込みに励んだ。なかなか相談に乗ってくれる人がおらず「誰かただでもらってくれる人はいないかなー」と段々弱気になった。話しをききつけた電気屋のセンさんがやってきて「車を売るんだって。オレ買うよ」といって五万円置いて乗って帰った。

茶碗を売るのは下手くそな弓さんだが、車は見事に商談が成立した。商談を見ていた車好きのメンバーさんは「センセイ、寂しくないですか。ボクだったら落ち込みますよ。車のない生活なんて考えられないですよ」と気の毒そうな顔をした。弓さんは「車は好きでないし乗らないからなんとも感じないですよ」と五万円を財布にしまった。

メンバーさんたちが帰り工房の戸締りをした。雪の中に軽自動車を置いてあった跡が小さくついていた。小さい車の形をした地面をみて弓さんの胸がキュンとしめつけられた。

「陶芸家弓さん」はサラリーマンから陶芸家になった弓さんが主人公の小説です。

 

陶遊 NO187号 11月号

新発売

*工房で販売しています

耐熱レンガ窯の底力      p6

 

自宅陶芸のススメ       p24

 

お月様とススキの陶あかり   p46

            

笠間ぐるりやきもの巡り    p66

                 

ヤキモノ語り         p78

 

 

 

2021年10月 ロクロ場 

 

 

 

 







2021⁄11⁄03(Wed) 21:51   稲城陶芸新聞 | Comment(0) | | ↑Top

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プロフィール

安東道正

Author:安東道正
陶芸クラブいなぎの窯元、安東です。
エッセイ「日々好陶」を再開します。
稲城陶芸新聞を別のカテゴリーで掲載します。

陶芸クラブいなぎホームページ
http://inagitgc.html.xdomain.jp/

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