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日々好陶「窯元ロクさんのひとり言」

ロクさんは轆轤挽が好きな陶芸家!工房での出来事を中心に綴ります

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安東道正

Author:安東道正
サラリーマンのときに綴ったエッセイ「窓際のロクロ挽き」と「窓際の陶芸家」,定年後に綴った自伝小説「陶芸家弓さん」は本になりました。陶芸クラブいなぎで1冊500円で発売中。
自伝小説「つりあがりもん」に続き「日々好陶、窯元ロクさんのひとり言」を掲載します。
陶芸クラブいなぎ
http://inagitgc.html.xdomain.jp/

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停刊のお知らせ

2021/03/26(金) 13:46:35

 永年、読んでいただきましたエッセイを停刊します。

これまでに「窓際のロクロ挽き」「窓際の陶芸家」「陶芸家弓さん」が本になりました。

読んでいただき大変ありがとうございました。

 四冊目の「日々好陶」を準備しております。発行は陶芸クラブいなぎのホームページでご案内させていただきます。

 現在、エッセイに代わってフェイスブックで日々の様子を掲載しております。安東道正で検索をお願いいたします。

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隣の仙女「壺ちゃん」

2020/11/05(木) 16:52:49

 朝夕がめっきり寒くなり工房の隣にある柿の木の実が色づき始めた。一畳ほどあるロクさんのプチ農園に植えたかわいい大根に葉が茂り収穫を近いことを告げた。

 隣の銀細工師、壺ちゃんが「寒い、寒い」と言いながら工房にきてロクさんの淹れたコーヒーを啜った。壺ちゃんは、先週大阪の梅田で個展をしたことをロクさんに話始めた。「コロナ禍で不況のようで装飾品は売れないわよ」と嘆いた。ゴーツートラベルで移動が自由になったとはいえ大阪まで個展に出向くなって凄いとロクさんは羨ましいような、怖いような気分で壺ちゃんの話を聞いた。

 ロクさんは「壺ちゃんは大阪出身だけれども大阪都構想はどんなに考えているの」と訊くと「何のこと」ときょとんとした顔をした。4、5年続いている大阪都構想を知らないようなのである。ロクさんは「先週、賛否を問う2回目の市民投票があったじゃないですか」と言うと「どんなことやねん」と大阪弁で聞いてきた。

 大阪都構想は大阪府と大阪市を含む周辺の市町村の統治機構(行政制度)を現在の東京都が採用している都区制度に変更しようとする構想だ。平成27年に住民投票で否決された。今回2回目の住民投票が行われ否決された。大阪に住んだことのないロクさんでも二重行政になっている古い構造が良くなるのじゃないかと思うのだが、大阪に住んでいる人はそうではないと答えをだしたので何故だか不思議になる。

 壺ちゃんは、銀細工師だけでなくテイチクのレコード歌手でありギターなどの楽器の演奏もする。舞台女優、クラシックバレーダンサーでもある。コロナ禍でライブ活動ができず近頃ではネットでライブ配信している。銀細工師、レコード歌手、舞台女優どれもプロなのである。それにもう一つパソコンのエンジニアでもある。才女なのである。スーパーウーマンなのである。

 壺ちゃんの仕事場は住居にもなっているが生活している雰囲気が全くない。食事はしているのか?どこに寝泊まりしているのか?全く謎だらけの人である。ロクさんは時々壺ちゃんのことを仙人ではないかと感じる。仙人は仙術を操る、不老不死、禁欲に徹する、高いところに住んでいるそうだ。仙術で初めての楽器でもすぐ弾いてしまう。歳は何歳かわからないが出かけるとき二十歳くらいの衣装をまとっている。禁欲は不明だし高いところに住んでいるかも不明だが仙人の条件はほぼ整っている仙人、女なので仙女なのである。テレビやラジオ、新聞でこれだけ騒がれている大阪都構想のことを全く無関心。ロクさんはますます壺ちゃんが仙女であることを疑いなし確信した。

 目の前でコーヒーを啜っている姿も何か浮世離れした感じだ。「この人、やっぱり仙女だなー」と思っていると壺ちゃんの携帯がピーピーピーと鳴った。壺ちゃんは「あっ、カレーの火を止めなきゃ」と言って慌てて帰って行った。ロクさんは「あー良かった人間だ」と胸をなでおろした。

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ロクさんユーチューバーを夢見て失敗

2020/10/30(金) 17:11:00

 昨年の夏から陶芸を始めたイチさんがいる。イチさんはあらゆる分野のことに詳しい。ロクロ場の屋根に天井がないことに気付き天井を張って断熱材を入れたり入り口の木製の階段がガタガタしているのをセメントで作り変えたりとなんでもすぐ修理してしまうほどだ。

陶芸もロクさんが教えていない業を先駆けてやってしまう。手びねりの基礎コースを修了すると電動ロクロコースに入り、あっという間に最後の急須を作ってしまった。ロクさんはほとんどアドバイスする暇がなかった。そのイチさんが「センセイ、ユーチューバーになりませんか?今一番稼いでいるユーチューバーは月3000万円だそうです」という。ロクさんの工房は11年間続いているが決して余裕のある経営が出来ているわけではない。ビル管理会社オーナーのイチさんはそんなロクさんの経営を心配しての提案のようだ。

 ロクさんは、今までカメラやビデオに興味がなかった。ビデオカメラなど撮影道具を一つも持っていない。イチさんは安いビデオカメラをネットで調べロクさんに購入するよう提案した。ロクさんはいつの間にか月3000万円に目がくらみカメラを購入した。ビデオカメラが届いたが扱い方が全然わからない。取説を見ながらビデオカメラの操作を覚えた。

 ユーチューバーになるのにはビデオカメラをうまく操作するだけではなれない。一番の問題は何をテーマにするかだ。ロクさんは教室の教材で手びねりの基礎コースをテーマにした。筆立て、筒状花器、小鉢、抹茶茶碗、タタラ角皿、切立湯呑茶碗、壷状花器、一輪挿しの8課題を取り上げることにした。

 三脚にビデオカメラをセットして早速自己紹介を始めたロクさんだが、ビデオが回り始めるとなかなか言葉がでない。「こんにちは、窯元のロクです。カマモトと言えば昔有名なサッカー選手がいましたが私は有名でない窯元です」と原稿を読むのだがなかなか流ちょうにいかない。顔が緊張して怖い顔になってしまう。

 ロクさんは昔、製薬会社のMR、人に話をする職業だったので少し自信があったのだが全然思ったとおりに行かないのである。イチさんが、顔が暗くなると言って照明器具を持ち込んできた。三個ある電球から強い光を放った。ロクさんはますます緊張して言葉が詰まってしまった。

 何とか最初の撮影が終わるとイチさんは編集用のソフトを持ってきて「これをインストールしてください」と言う。インストールしたが難しすぎてさっぱりロクさんに分からない。ロクさんのパソコンをバックアップしている吉丸コンピュータークリニックに相談すると「このソフトはプロ用でロクさんには無理」と言って簡単な編集用のソフトをダウンロードした。こちらは切ったり張ったりが簡単で何とか8分間のユーチューブが出来上がった。

 ユーチューバーになるには更に難関があった。チャンネル登録者数が1000人以上、年間再生時間が4000時間という。

 一回目の基礎コースのチャンネル登録が9名、再生回数が50回だった。その後も増えずロクさんは法螺貝を鳴らしてアップしてみた。今までと違い再生回数が90回と一番多くなった。

 9回ほどアップしたがチャンネル数が増えずロクさんはアップするのを止めてしまった。「慣れないことはするもんじゃない。月3000万円は無理でも3000円くらいなら稼げると思ったが大間違いだった」とロクさんは呟いた。その後ビデオカメラは机の引き出しにしまったままになっている。

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ロクさん、テレビ出演で有名人になる

2020/10/18(日) 21:13:00

 今年の夏は新型コロナウイルスのお蔭で工房を完全予約制にした。おまけに夏将軍が猛威を放ち工房に誰も寄り付かなくなった。ロクさんは、今のうちに来年の展示会用の作品を揃えようとロクロに向かっていた。大きなリックサックを胸に背負った綺麗なお姉さんが入ってきて「ここは陶芸教室ですか」と訊く。ロクさんは体験に来た人だと思い「はい」と応えた。綺麗なお姉さんはいきなり「テレビ東京のモアモアサマーズを知っていますか」と言った。ロクさんは「ボク、近頃テレビ観ないんだよね!テレビ東京では“何でも鑑定団”を観るよ」と言うと綺麗なお姉さんは呆れた顔をして名刺を差し出し「テレビ東京のモアモアサマーズという番組を作っている製作会社の者です」と自己紹介をした。

 モアモアさまーず2は、サマーズという二人のタレントさんとテレビ東京の女子アナウンサーがいろいろな街を廻り地元を紹介する番組だそうだ。ロクさんは「NHKの家族に乾杯と言う番組を見たことがあるけど同じような番組」と訊いた。お姉さんは「はい、そうです!13年続いています」と言う。ロクさんは「13年続いているというと人気があるんだね」と言うとお姉さんが嬉しそうな安心したような顔をした。

 ロクさんは「家族に乾杯」などの街歩き番組は、打ち合わせのない飛び込みの番組と思っていた。実際は、製作会社のお姉さんが4回来て入念な打ち合せをした。あまり乗り気でなかったロクさんも綺麗なお姉さんの熱意に押され教室を一日休業して協力することになった。決して美貌に惑わされたわけではないぞと心で言い訳をしながら準備した。

 撮影の当日、1時間前に綺麗なお姉さんが音響係りなどスタッフ5人を引き連れてやってきた。「ここの機械を動かして良いですか」と言って電動ロクロを動かした。「胸にマイクを失礼します」と言って音響のオジサンがTシャツの下から手をいれてきた。ピンマイクをTシャツの下にセットして「胸を触らないでください」と言った。オジサンの手が胸に触れて気持ちが悪いなと思っていると「法螺貝をホワイトボードに掛けてください」と言う。

 セットが出来上がると「まもなく、さまーずさんが来ます」と連絡がありロクさんは緊張した顔で作りかけの茶碗の削りを始めた。外から大きなカメラが工房の中のロクさんを撮影し始めた。

 サマーズの三村さんが「稲城と言えば梨ですが陶芸で梨に関するものはありますか?」と訊ねた。ロクさんは「梨の灰で作った釉薬があります」といって釉薬の話を詳しく話した。話ながらロクさんは、この人、陶芸に全く関心がないなと感じた。話終えるとホワイトボードに吊るした法螺貝を指さし「これは何ですか」と訊いた。またまたロクさんは真面目に稲城に伝わる青渭獅子舞の話をした。話を終えると吹いてみてくれと言う。ロクさんが吹き口に唇をあてると三村さん大竹さん女子アナの田中さんが興味深そうにロクさんの顔を覗き込んだ。ロクさん、ここは一つ見どころを作ってあげようと考え「あ、危ないから少し下がって」と言うと三人は慌てて後ろに一歩下がって踏ん張った。ロクさんは思い切り「ブオー、ブオー、ブオー」と三回鳴らした。吹き終わり音の出が悪いなと思っていると三村さんががっかりした顔で「どんな感じですか」と言った。ロクさんは「まあまあです」と応えたながら、「今年は祭りが中止になって稽古不足です」と言い訳したかったが言葉を飲み込んだ。

 次の日、高校一年生のシオちゃんが陶芸にやって来て「センセイ、撮影はどうでした」と訊いてきた。ロクさんは、撮影の状況を詳しく説明し「残念なことが一つあるんだよ」と言った。シオちゃんは「何ですか」と不思議そうな顔をした。ロクさんは真面目な顔で「コロナでマスクをしていたのでイケメンをテレビで映してもらえなかったんだよ」と言うとシオちゃんはロクさんの顔を覗き込み「センセイがイケメンですか?アハハハハ!やめてください!アハハハハ」と腹を抱えて笑った。

 放送の日、別の用事がありロクさんは奥さんのナナコさんに録画頼んだ。夜帰るとナナコさんが「映ったわよ!最後の最後」と笑った。録画を見ると本当に最後の最後に30秒だけ映った。50分も撮影して30秒かとロクさんはがっかりした。

 次の日からロクさんは驚いた。会う人会う人、知らない人からも「テレビ、見ましたよ」と声を掛けられた。祭りの仲間からは「有名人になったなぁロクさん!」「芸能人になったよ!ロクさん」と冷やかされた。

 ロクさんはテレビの影響力を知り、陶芸教室に多くの申し込みがあることを期待した。しかし、一ヶ月経ったが未だに一人の申し込みもない。

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免疫って一体何者!

2020/07/03(金) 15:41:25

 ウイルスが病原微生物と分かったナナコさんは、ロクさんに「病原微生物って何種類いるの」と訊いた。昔、製薬会社でMR(医薬情報担当者)をしていたロクさんは我が意を得たと顔が明るくなりしゃべり始めた。「病原微生物は大きく分けて4つに分類されている。ウイルス、細菌、真菌、原虫だ。それぞれの形状や大きさによって分類される。ウイルスはインフルエンザウイルスやノロウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、エイズウイルスなどが同じ仲間だ。細菌は結核菌や破傷風菌、コレラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌が仲間だ。真菌はカビ。カンジダやアスペルギルス、水虫が仲間だ。原虫はマラリアやトリコモナスなどが仲間だ。ナナコさんはロクさんの話を聞き「病気を起こすバイキンにはウイルス、細菌、真菌、原虫があるんだね!」と頷いた。そしてナナコさんは「生物だから生きているんだね」と訊いた。ロクさんは「そう生き物。生きる基本は『子どもをつくる』と『食べる』。子どもをつくると言うより増やすと言った方がいいかな。細菌、真菌、原虫は自分で栄養を取り込み、エネルギーを生み出し増やす。ウイルスは増やす設計図(遺伝子)だけ持っていてそれ以外のものがないので自分で増やすことができない。そのため宿主の細胞に入り込んで増えていくんだ」とナナコさんの顔を覗き込んだ。

ナナコさんは「ロクさん、話が難しいね。設計図が遺伝子と言われても分からないよ。とにかくウイルスは一人で生きていけない寂しい生き物なんだね」。「ナナコさんそうなんだ!寂しい生き物なんだけど人にとっては脅威なんだ。原虫、真菌、細菌はペニシリンや抗生物質、抗菌剤の開発でほぼ治療することに成功した。ウイルスもタミフルの開発で治療が可能になった。ただ今回のような新型がでてくるとまだまだ脅威の生き物だね」

 ナナコさんは「PCRとか抗体とか言っているけどあれは何」、「PCRはコロナウイルスに感染しているかを見る検査、抗体検査は過去にコロナウイルスに感染したかどうかを見る検査なんだ。抗体はね!コロナウイルスなどの病原菌が身体の中に入って来ると敵が来たと身体を守る働きをするたんぱく質なんだ。この身体を守る機能が免疫なんだよ」

ナナコさんは「何だか難しい話だけど免疫とはよく聞くね」と言った。ロクさんは「免疫とは疫から免(まぬが)れることをいうんだ。疫とは伝染病など今回のコロナウイルスなんかを言うんだね。身体に悪さをするものなんだ。しかし身体も黙って悪さを見逃しているわけではない。身体は非常によくできていてこれらの悪者を追い出したり食べたりする機能をもっている。それが免疫なんだ」

ナナコさんは「分かった。ウイルスは病原微生物で自分の子孫を増やすために人間の身体に入り込んで悪さをする。人間の身体はその病原微生物が入って来ると阻止する機能がある。それが免疫機能だね。え!何でコロナには免疫機能が働いてないんだね」

ロクさんは「ナナコさん、そこなんだ!ウイルスが身体に入ってこないと免疫機能が出来ないんだ。入って来て初めて免疫機能ができる。それが抗体なんだよ。軽い感染症を起こさせ抗体を作るのがワクチンなんだ」

ナナコさんは「そうか!それでワクチンの開発が急がれているんだね!難しけど少し分かってきたよ!早くワクチンができて薬ができて外にご飯食べに行きたいね」

ロクさんは、満足そうにうなずいた。

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