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安東道正

Author:安東道正
サラリーマンのときに綴ったエッセイ「窓際のロクロ挽き」と「窓際の陶芸家」,定年後に綴った自伝小説「陶芸家弓さん」は本になりました。陶芸クラブいなぎで1冊500円で発売中。
自伝小説「つりあがりもん」に続き「悪戦苦陶、陶芸家ロクさん」を掲載します。
陶芸クラブいなぎ
http://inagitgc.html.xdomain.jp/

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免疫って一体何者! 

 ウイルスが病原微生物と分かったナナコさんは、ロクさんに「病原微生物って何種類いるの」と訊いた。昔、製薬会社でMR(医薬情報担当者)をしていたロクさんは我が意を得たと顔が明るくなりしゃべり始めた。「病原微生物は大きく分けて4つに分類されている。ウイルス、細菌、真菌、原虫だ。それぞれの形状や大きさによって分類される。ウイルスはインフルエンザウイルスやノロウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、エイズウイルスなどが同じ仲間だ。細菌は結核菌や破傷風菌、コレラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌が仲間だ。真菌はカビ。カンジダやアスペルギルス、水虫が仲間だ。原虫はマラリアやトリコモナスなどが仲間だ。ナナコさんはロクさんの話を聞き「病気を起こすバイキンにはウイルス、細菌、真菌、原虫があるんだね!」と頷いた。そしてナナコさんは「生物だから生きているんだね」と訊いた。ロクさんは「そう生き物。生きる基本は『子どもをつくる』と『食べる』。子どもをつくると言うより増やすと言った方がいいかな。細菌、真菌、原虫は自分で栄養を取り込み、エネルギーを生み出し増やす。ウイルスは増やす設計図(遺伝子)だけ持っていてそれ以外のものがないので自分で増やすことができない。そのため宿主の細胞に入り込んで増えていくんだ」とナナコさんの顔を覗き込んだ。

ナナコさんは「ロクさん、話が難しいね。設計図が遺伝子と言われても分からないよ。とにかくウイルスは一人で生きていけない寂しい生き物なんだね」。「ナナコさんそうなんだ!寂しい生き物なんだけど人にとっては脅威なんだ。原虫、真菌、細菌はペニシリンや抗生物質、抗菌剤の開発でほぼ治療することに成功した。ウイルスもタミフルの開発で治療が可能になった。ただ今回のような新型がでてくるとまだまだ脅威の生き物だね」

 ナナコさんは「PCRとか抗体とか言っているけどあれは何」、「PCRはコロナウイルスに感染しているかを見る検査、抗体検査は過去にコロナウイルスに感染したかどうかを見る検査なんだ。抗体はね!コロナウイルスなどの病原菌が身体の中に入って来ると敵が来たと身体を守る働きをするたんぱく質なんだ。この身体を守る機能が免疫なんだよ」

ナナコさんは「何だか難しい話だけど免疫とはよく聞くね」と言った。ロクさんは「免疫とは疫から免(まぬが)れることをいうんだ。疫とは伝染病など今回のコロナウイルスなんかを言うんだね。身体に悪さをするものなんだ。しかし身体も黙って悪さを見逃しているわけではない。身体は非常によくできていてこれらの悪者を追い出したり食べたりする機能をもっている。それが免疫なんだ」

ナナコさんは「分かった。ウイルスは病原微生物で自分の子孫を増やすために人間の身体に入り込んで悪さをする。人間の身体はその病原微生物が入って来ると阻止する機能がある。それが免疫機能だね。え!何でコロナには免疫機能が働いてないんだね」

ロクさんは「ナナコさん、そこなんだ!ウイルスが身体に入ってこないと免疫機能が出来ないんだ。入って来て初めて免疫機能ができる。それが抗体なんだよ。軽い感染症を起こさせ抗体を作るのがワクチンなんだ」

ナナコさんは「そうか!それでワクチンの開発が急がれているんだね!難しけど少し分かってきたよ!早くワクチンができて薬ができて外にご飯食べに行きたいね」

ロクさんは、満足そうにうなずいた。

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[2020/07/03 15:41] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)

お知らせ 

今週も休刊します
[2020/06/27 21:33] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)

ウイルスは生き物!でも敵!ロクさんとナナコさんの会話 

ウイルスとは何者?

 緊急事態宣言が出されロクさんは工房を臨時休房した。時間が出来たロクさんはテレビやラジオでコロナ関連のニュースや解説を見たり聞いたりすることが多くなった。医師が解説者として登場すると必ず専門用語出てくる。ケース、クライスター、パンディミック、抗体、免疫、病原菌など何となく分かる用語もあるが詳しくは分からない。司会者もにわか仕込みの勉強で分かっているような、わかってないような会話が続く。

ロクさんはカミさんのナナコさんが分かったような顔をして解説を聞いているのでいくつか質問した。「ナナコさん!ウイルスって何」と訊くとナナコさんは「病気を引き起こすバイキンでしょう」と応えた。ロクさんは「そうそうバイキン。人の身体に悪いことをするから黴菌(バイキン)菌だね。悪いことをしない菌もたくさんいるよ。納豆やチーズ、日本酒、クサヤなどいろいろな食品が菌から作られている。これらの菌はすべて微生物と言う生き物なんだ。目で見えない小さな生き物。顕微鏡でしか見えないんだ。ウイルスは更に小さく電子顕微鏡でしか確認できないんだ。この生き物はね、昔々大昔に生まれたんだ。46億年前、太陽系の惑星として地球が誕生した時、地球には酸素がなく海は灼熱のマグマで満ち生命の住めるところではなかった。40億年前、地球上に最初に誕生した生命が微生物であったと考えられているんだ。酸素がなくても生息できる生命だった。その後、27億年前に光合成をおこなう微生物が誕生した。この微生物によって酸素を作り出すことができた。およそ10億年前微生物の作り出した酸素のある地球環境によって我々動物や生き物の先祖となる多細胞生物が誕生したんだ。微生物はボクらの先祖とも言える。

微生物は単細胞の生き物なんだがそれぞれ生きるための戦略をもっている。住むところが土壌であったり、植物であったり動物であったりする。動物が住処でも一種類しか住処を持たない微生物もいるし、動物から人、人から人へと場所を変えて増殖するのもいる。人を住処として病気を引き起こす微生物が病原微生物と呼ばれる。その一つが今回騒動しているウイルスなんだ。

 そうそう、ウイルスは自分で動けないから一番住みやすいところを探して住み着く。住み着いたところを宿主(しゅくしゅ)と言うんだ。あまり動かない亭主のことを宿六(やどろく)と言う。似てるね!ウイルスは微生物と言うこと、ナナコさんわかったかなー! 

 「ロクさん、良く分かったよ!バイキンは微生物で人に悪さをする微生物のこと、病原微生物と呼ばれるんだね。ウイルスは微生物の一つ。今回の新型コロナウイルスは病原微生物だね。

ロクさんは我が家のシュクロクなんだね!」。ロクさんは「シュクロク?オレをウイルス扱いしたな」と呟いた。

 


[2020/05/12 08:53] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)

お知らせ 

しばらく休刊します
[2020/05/07 16:13] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)

マスク 

 街から人が消えた。歩く人がまばらにいるがみんなマスクをしている。テレビに映った総理大臣も閣僚も後ろに立っている人全員がマスクだ。マスクがドラグストアの棚から消えたと言う。

 ロクさんは歳をとってから毎晩マスクをして寝る。年中鼻炎のロクさんは寝ているとき突然の咳に起こされる。お医者さんから「ロクさん、鼻炎で鼻づまりして口呼吸になるので咳がでている。マスクをして寝なさい」と言われそれ以降毎晩マスクをしている。ロクさんは「こりゃーマスクが無くなったら大変じゃ」と行きつけのドラグストアへ駆けつけたが時すでに遅し。定員さんから「すみません」と謝られたが「いやいや、ボ、ボクが遅すぎました」と頭をかきながら店をでた。

 ロクさんは寝るとき以外にも電車の中や飛行機、劇場、会議室でも咳が出ないようにマスクをする。ロクさんはギリシャを旅した時、泊まっていたホテルの近くにあったオモニア駅からピレウス駅に向かうため電車に乗った。いつもの習慣でマスクを掛けると乗客が一斉にロクさんを見た。全員の目が恐怖に満ちていた。ロクさんは直観的「いかん」と察し慌ててマスクを外しポケットに押し込んで何でもない顔をした。ロクさんはこの時、「周りのギリシャ人は、病気の東洋人が乗って来たんだと思ったに違いない」と感じた。それ以後、外国では街中でマスクをしないようにしている。

 イタリア、スペイン、イギリスと新型コロナ感染が広がり、市中が放映されるようになった。テレビに映った政治家も街を歩く人もマスクをしているではないか。マスクをつける習慣のないヨーロッパでこれだけの人がマスクを着用しているということは大変なことだ。新型コロナウイルスは大変な奴だとロクさんは改めて感じた。

 三月の半ばごろまでロクさんは、まだ危機感を感じず人ごとのようだったが一日いちにちテレビやラジオ、新聞で知るようになりのんきなロクさんも危険を感じるようになった。

 子どもの頃、ロクさんは病気になると町のお医者さん(医院)に行った。待合室と受付はガラス張りになっていて薬を受け取る窓が小さくドーム状に開けられていた。ロクさんは子ども心にガラスの向こうは別の世界で偉い人たちが働いていると感じた。偉い人と言うより神様に近い存在の人々で、ガラスはそれを区別する結界だった。お医者様、看護婦さん、受付のオバチャンは、風など流行り病があっても病気をしない人と思っていた。

 当時、抗生物質は使われていたが、建物はそれ以前に建てられたもので抗生剤は無く病気の中で疫病が一番怖い病気だったのだろう。医療従事者の病気から守る一番の防御が受付のガラスだったに違いない。先生はメガネをかけ、マスクをしていた。メガネの奥にばい菌も寄せ付けない怖い目があった。マスクの下には髭もあったに違いない。

 ガラスもマスクもメガネも髭も全てがばい菌対策だったのだ。ロクさんは子どもの頃のお医者様を想いだしながらマスクで顔を覆った。

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[2020/04/15 08:59] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)