陶芸に関する悪戦苦陶の話
この釉薬は,何?(第十五話)


今週東京地方も開花宣言があり工房に向かう多摩川沿いの桜も一輪二輪と咲き始めている。

土曜日は毎週 陶芸教室が開かれる。三名の生徒が工房で作陶している。講師は三宅直子先生。多摩美術大学 大学院卒の芸術家。現在 MAio108の事務と陶芸教室の講師を兼任している。鉄工や木工の仕事も手伝う。

教室で一人の生徒が素焼きの作品に釉掛けを始めた。見るとボクの透明一号釉をかけている。三宅先生はチタンマットと言ったような気がした。普段 教室の方には声を掛けないのだがボクは「それは透明釉薬ですよ」と云った。先生が横から「いやチタンマットです」と言う。容器にはボクの下手な字で「一号釉」と書いてある。昨年の暮れには容器の中が少なくなったので一号釉薬を調合して満たした記憶がある。

先生の話だと昨年の秋頃 ボクの許可を取ってチタンマットの容器にしたそうだ。透明釉薬は一号でなく三号釉薬を使うものだと思い込んで,
少なくなっていた一号と書かれた容器は使ってない容器と勘違いしたようだ。

ボクは一昨年から白化粧と白化粧に合う透明釉薬を開発してきた。ブクなど多くの失敗を重ねてこの一号釉薬に辿り着き昨年の夏に完成した。
昨年の夏から白化粧の大皿や掻き落としの大皿、白化粧茶碗など多くの作品を作ってきた。
暖かい白、艶のある光沢。完成までの苦労もありこの一号釉薬には充分に満足していた。

昨年の秋頃から何か雰囲気の違う感じの作品が気になっていたが窯の所為にしていた。

先生も自分の作品をあまり気にしていなかったようだ。

昨年の秋頃から先生は「チタンマット」 ボクは透明釉薬と思い込んで使っていた。

一体 この釉薬は何なのだ・・・






2006⁄03⁄26(Sun) 16:29   陶芸 | Comment(0) | Trackback(0) | ↑Top
運子(第十四話)


「うんこ」は「便」とも言う。「便」は「たより」と読む。
昔 うんこを「雲古」と書いた人がいたそうだ。道に落ちていたうんこを見て雲が古くなって落ちてきたと見立てたそうだ。

ボクは前から「運子」でないかと考えている。「便」を「たより」と読むのと同じ考えで、うんこはお腹からのメッセンジャー。メッセージを運ぶものではないかと考えている。

健康なうんこの色は茶色・茶褐色・褐色。白っぽい便・赤・黒は要注意。
形はバナナのような形で練り歯磨きほどの柔らかさが理想的。
臭いは腐敗臭・すっぱい臭いが危険信号。

陶酔会の創作陶器作品展も終盤を迎えた。
ギャラリーの入り口で鬼の夫婦が出迎えてくれる。

入ったところの棚には今回出展した33人の製作したぐい飲みが並べられていた。一個一個 個性的な大作揃いだ。その中にぐい飲みの真ん中に金色に輝く見事な「運子」があった。その運子をぐい飲みの口の部分から覗いているおじさんが居る。

このぐい飲みを製作した作家の名前は書いてあったがその人物をボクは知らない。多分 画材としてスケッチしたなら自分から生まれたものだろう。この形・この黄金の色・臭いどれを取っても立派な体格の持ち主で健康な人物だろうと想像しながら眺めていた。

入り口で野太い声が聞こえた。「誰だギャラリーでうんこをしたやつは・・・臭いぞ・・・」

「おや 鬼さん あんたの作品かい この運子・・・」


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2006⁄03⁄19(Sun) 06:04   陶芸 | Comment(2) | Trackback(0) | ↑Top
先輩からのメッセージ(第十三話)


多摩川の土手の色が少しずつ薄緑に変わり始めた。多摩川の向こうに少し膨らんだ富士山を見ながら陶酔会の会場に車を走らせた。

有給休暇を頂き会場の当番をした。
ギャラリーが立川市の有名な料亭の敷地内に有りアマチュアの展示会にしては関係者以外の方のご来場がある。
ご来場頂いた皆さんから出展作品の素晴らしさに賞賛のお言葉を多く頂けた。

会社のOBで現在フリーの医療関係のライターをしている先輩にも案内状を出した。会社では広報部長の肩書きでコピーライター・広報誌の編集長を兼任していた広報界で有名な人物だ。

さっと会場を回られボクの作品の前でしばらく眺めておられた。
まず掻き落としの竹の子の大皿を観て自分の目で見て描いてないことを指摘された。
ボクの竹の子は 友人の絵葉書から写したもの。友人の絵葉書にはいつも感動し画材として使わして頂ける約束を交わした矢先のことだった。

「竹の子は画材として素晴らしい。今 旬なので八百屋さんで買って来て自分の目で見て描きなさい」とアドバイスを頂いた。
その他の感想はなく、もちろんお褒めのお言葉もなかった。

今年のトリノで行われた冬季オリンピックはフィギュアスケートの荒川静香の金一個に終わった。
競技の終わった日本のアスリート達から「楽しめました」と言うコメントを多く聞いた。

何か勘違いしているのではないかとボクは感じていた。競技場にお金を払って観に来たお客様を楽しませるのがプロではないかと思う。自分が楽しんでその向こうにお客様を楽しませると言いたいのだろうが少し違うような気がする。
荒川選手のコメントから「楽しみました」と言うコメントなかった。「自分の力を充分に発揮できるよ競技しました」と言う意味のコメントだった。高い目線で自分の目標を定めそれに向かって競技する姿にボクは感動した。
金を取ったからで無くもう一人の村主章枝の演技にも感動した。二人に共通した観客に一番良い演技を見せたいプロ魂が素晴らしいと感じた。

「週末しか作陶出来ないから」「まだまだアマチュアだから」「定年を迎える三年後には何とかなるだろう」と云う甘い考えを捨て、今後はもっと目線を高くしてお客様に感動して頂ける個展の開催に向かって作陶して行きたい。

後片付けを済ませ帰路についた時、辺りはすっかり暗くなっていた。多摩川を渡る頃、水平線の上 ボクの目線より少し高いとこで大きなお月様が金色に輝いていた。


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2006⁄03⁄16(Thu) 03:57   陶芸 | Comment(2) | Trackback(0) | ↑Top
グランドチャンピオン(第十二話)


春一番が吹き暖かい日があったり寒かったり冬の神様と春の神様が綱引きをしているようなお天気が続く毎日だ。

金曜日に陶酔会の搬入が行われた。ボクの作品は先週写真付きで花峰窯に運び陳列をお願いしてある。
壁掛けの位置など微調整が必要なので仕事の合間に西国立の無門庵ギャラリーに立ち寄った。

酒器を中心にしたボクの作品達も晴れ舞台で凛々しく輝いていた。
搬入された作品はまだ飾り付けの途中だったがどの作品も素晴らしく輝いて見えた。

土曜日の夜 NHKのど自慢 チャンピオン大会を観た。平成17年に選ばれたチャンピオンの中から更に選定された16組の大会だ。

ボクは若い頃から日曜日のお昼はのど自慢を楽しみにしている。唄の上手さからだけの感動でなく出場者の真剣さが伝わってくる。出場者の喜びや悲しみがストレートに伝わってくる。郷土愛や家族愛・友情などが伝わってきて感動する。

チャンピオン大会はその中から選ばれた歌の上手い人達の舞台だ。どの出場者もプロの歌手と遜色ない上手さで輝いている。

平成17年のグランドチャンピオンに選ばれたのは鬼束ちひろの月光を歌った韓国のキム・ギョンアさんだった。

彼女の歌には気負いがなく自然体で歌う姿とはっきりした日本語が伝わって来て「鬼束ちひろ」も「月光」も知らないおじさんのボクも感動した。

今日から始まった陶酔会の作品展ではどの作品もチャンピオン大会の出場者のように輝いて見えた。

ボクの作った酒器達にも気負いが無く自然体であってほしいと思う。観に来て頂いた方々に「感動が伝われば良いなー」とテレビ観ながら思った。






2006⁄03⁄12(Sun) 06:17   陶芸 | Comment(0) | Trackback(0) | ↑Top

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プロフィール

Author:どうしょう花
サラリーマン生活が残り一年になりました。
宮崎での単身赴任時代に始めた陶芸が十年になります。
昨年 年末に窯を持ちプロとしての環境が整いました。
サラリーマン生活を悔いのないように全力でラストランしたいと思います。
週末は、陶工への道にむかい励みます。
還暦前の老人が悪戦苦闘している日々を「どうしょう花」がエッセイにして毎週水曜日に掲載致します



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