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安東道正

Author:安東道正
サラリーマンのときに綴ったエッセイ「窓際のロクロ挽き」と「窓際の陶芸家」,定年後に綴った自伝小説「陶芸家弓さん」は本になりました。陶芸クラブいなぎで1冊500円で発売中。
自伝小説「つりあがりもん」に続き「悪戦苦陶、陶芸家ロクさん」を掲載します。
陶芸クラブいなぎ
http://inagitgc.html.xdomain.jp/

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自費出版の秘策 

 年が押し迫り、なにか気ぜわしく今年の後片付けをしている頃、六さんの書いた自伝小説「陶芸家弓さん」が刷り上がってきた。六さんにとって3冊目の本だ。10年前、最初に出版した「窓際のロクロ挽」を手に取った時、非常に感動した。二冊目「窓際の陶芸家」もそれなりの感動があった。今回は、そんな感動がなく、どうしたら多くの人に読んでもらえるかが心配になった。

 二冊目の窓際の陶芸家は300冊刷り、全部はけ50冊増刷した。友人知人、親戚に配り教室のメンバーさんに全員に配った。新しく入った生徒さんにも本を提供した。異口同音に「センセイ、文章も書かれるのですか!凄いですね」と言われ六さんは鼻高々だった。内容はサラリーマンの時、趣味の陶芸をしながら陶芸教室を立ち上げるまでの話。アマチュアの陶芸家には共感するところがあり、興味を引くと六さんは自信をもっていた。しかし、読んだ感想を言われる人はほとんどいなかった。

 三冊目の「陶芸家弓さん」を書き下ろし、出版するかどうか考え始めると六さんに迷いがでてきた。「果たしてボクの本は人が読んで面白いのか」「貰ってありがたいのか」「買ってまで読む人がいるのか」。自費出版の本を何人かの方にいただいて読んだが全部読み切るのに時間と労力が要った。3ページ読んで嫌になり、10ページまで進んで読むのを止めた本もあった。所々読んで感想を述べた。そして、「凄いですね!」と褒めた。

 エッセイを書き始めたころ師匠に「10人読んでくれたら、いいのよ」と言われたことがあった。その時、10人以上の友達がいるので大丈夫と思った。しかし、全ての友人が本好きではない。一番仲のいい幼友達も送った本を「神棚に置いているよ」と連絡してきた。六さんは「オイ、オイ、オイ、本は神棚じゃなく、読んだ後本棚に置いてよ」と呟いた。

 本を読む人が減った、若者の活字離れがあると言われて久しい。駅にあった本屋が閉店し、改めて活字離れかと考えさせられる。一方ネットでの本は若者に読まれているという報道がある。通勤や通学の満員電車の中でコミックや小説を読んでいるそうだ。六さんのような年寄りにはできない読書方法である。六さんは長いメールでの文章はプリントアウトして目を通す。パソコンの画面で読んだ文章は頭に残らないのである。

 六さんの若い頃は、本を読むことがインテリジェンスを高める一番の近道と教わってきた。古本屋で安い本を購入して机の上に積んで置くだけの積読でも充分に満足したものである。転勤族だった六さんは、引っ越しの度、本棚2個分の本を持ち歩いた。鹿児島から東京に転勤になった時、さすがに住宅事情で大分の実家に大量の本を送った。今では購入するより図書館で借りての読書が多くなった。

 三冊目の本、「陶芸家弓さん」を多くの方に読んでもらうため如何なる方法があるか六さんは腕組みして考えた。「よし、心を鬼にして販売しよう」と手を打った。買った本は、少しは読むだろうという作戦だ。販売価格を500円に設定し、刷り部数は300冊。できるだけ贈呈せず友人にも購入をお願いする。自費出版の部数は知り合いの数に設定することというアドバイスがあることは知っているが300人には読んでもらいたい。

 山積みされた300冊の本に「ワンコインで楽しむ読書」と書いて貼った。窓にも外の掲示板にも貼って宣伝している。

六さんは六月に行っている教室の展示即売会で平積みして販売すれば300冊は完売できると秘策を胸にしまっている。

購入したメンバーさんから「センセイ、凄いですね」と褒められ六さんは「いやいや、ボクの唯一の道楽です。3ページ読んでみて、面白くなかったら本棚に飾ってください」と頭をさげた。

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[2018/01/19 16:11] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)