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安東道正

Author:安東道正
サラリーマンのときに綴ったエッセイ「窓際のロクロ挽き」と「窓際の陶芸家」,定年後に綴った自伝小説「陶芸家弓さん」は本になりました。陶芸クラブいなぎで1冊500円で発売中。
自伝小説「つりあがりもん」に続き「悪戦苦陶、陶芸家ロクさん」を掲載します。
陶芸クラブいなぎ
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実行委員長、オーさん  

   六さんは、市民文化祭と芸術祭の準備のため会場の総合体育館に電動自転車で向かった。体育館は、六さんの住む街の小高いところにあり六さんの家からは、ずっと坂になっている。歩くと30分はかかるので3年前に中古の電動自転車をネットで購入した。黄色い自転車で目立ち、駐輪場ですぐに見つかるので六さんは気に入っている。電動自転車は古くなると2、3年で電気の持ちが悪くなると言う。六さんの黄色い自転車も購入した時から電池が長持ちせず体育館まで二往復で電池が切れた。六さんは5000円出してもう一つ中古の電池を購入した。途中で切れた時、補助電池で対応する作戦だ。体育館に通うのは一年に一度で補助電池を買い物かごに年中入れておく必要はない。

 六さんが坂道を100mほど走ったところで満タンに補充していた電池のメーターが点滅し始めた。そしてすぐに無くなった。電気の切れた電動自転車ほど始末の悪い自転車はない。重いし押しづらい。六さんは「チェ、補助電池を積んでおけばよかった」と舌打ちして「よいしょ、よいしょ」と押しながら体育館に向かった。街路樹がすっかり秋の装いにかわり六さんは「自転車を押すのもいいもんじゃ!季節を感じられる」と負け惜しみの顔で呟いた。

 体育館に着くと実行委員長のオーさんが待っていて「六さん、設営が始まりますので早くチェックをしましょう」と六さんをせかせた。

 毎年文化祭の会場は、体育館のメインアリーナ―を使っている。展示会場の設営の前に体育館の床と壁の傷チェックをする。実行委員長、会長の六さん、体育館の担当者ニシさん、担当行政のキダカさんで見て回った。体育館も古くなりあちらこちら傷だらけ、大きな傷を写真に写して終わった時、新しい傷があるか照合する。チェックが済むと業者は床にマットを敷き、その上に白いシートを張った。床ができると展示のための間仕切りが手際よく組み立てられていった。

 今年の実行委員長オーさんは、積極的な人。六さんより一歳年上だが身体も頭もよく動く。会社経営していた経歴を持ち、上に立った時、何をするかが全て分かっている。実行委員長になった時、「市民の為に、市民が見やすい展示会にしたい」と言っていろいろなアイディアをだした。今年で50回目になる市民文化祭だが知らない人が多い。オーさんはチラシとポスターを作成することを理事会にかけ実現させた。市内6駅の掲示板にポスターを貼った。実行委員会の時、実行委員にポスターの掲示を呼びかけ自治会館、マンションの掲示板にも貼った。オーさんの呼びかけは功を制し今までで一番の来場者になった。

 オーさんは準備から会期中、後片付けまで全て陣頭指揮をとった。三日間の文化祭も無事終了した。実行委員長のオーさん、展示部門長のキーさん、芸術部門長のハ―さんが大活躍した。芸文連の理事、実行委員の皆さんも一糸乱れず動いた。

 片付けがおわり、体育館の傷チェックが終わり、六さんは電動自転車で「ヤッホー」と言いながら足を上げて下っていった。電動自転車もギアを三段階の中にしておけば二回体育館まで登れることを発見し、なだめながら乗っている。電動自転車は「中古(ちゅうぶる)は中古同志、なかよくやろうぜ、六さん」とはしゃいでいる六さんを呆れた顔でフル回転させた。

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[2018/10/26 11:28] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)

休刊のお知らせ 

今週の「つりあがりもん」は、青渭神社例大祭の準備と稲城市民文化祭の準備のため休刊にします。
[2018/10/05 10:32] 未分類 | トラックバック(-) | CM(0)