陶芸に関する悪戦苦陶の話
本当に怖いのはボクかも知れない(第十話)


日曜日の午前2時半 多摩川沿いの道を工房にむかった。今年 二回目の窯焚である。
多摩川沿いにある工房は真っ暗で怖い。
午前3時に点火する。

ボクは子供の頃から真っ暗なところが苦手である。
歳を重ねた今でも相当に怖い。

もう少し早く点火しよう思えばもっと早く起床できる。
昔から幽霊の出ると云われる丑三つ時(午前2時)は避けている。

宮崎の縄文工房も人里から離れたところにあり窯焚の時は怖かった。
縄文先生から「現在はお化けより人間の方が怖いですよ」と云われた事があった。

窯場は材木の資材置き場と共用で三方囲われているが冬場は吹きさらしで寒い。
資材の中からベニヤ板を数枚取り出し、開いている一方を囲い寒さをしのいでいる。
外から見るとホームレスの家のような感じもする。

今回は思ったより寒くもなく順調に窯焚が進んだ。11時ごろから還元炎にし、窯の前でラジオを聞きながら書き物をしていた。
ラジオの音の間から「ごめん下さい」と声がしたような気がした。

囲いから出て見ると窯場の10mくらい手前で宅急便のおじさんが怯えた顔でこちらを見ていた。

泥の付いたジャージにグランドコートを着て頭に毛糸の帽子をかぶり朝から顔を洗わず無精ひげの老人が囲いの中で何かしている。
おまけに1000度を超えた炎を見つめているから顔も相当に怖い顔になっているはず。

荷物を受け取り囲いの中に戻って考えた。

工房の横に多摩川の堤防があり、昼間は散歩やジョギング、ツーリングで人通りがある。そう云えば窯焚をしている時 誰も寄り付かないし、こちらを見る人も居ない。

もしかして この辺りで一番怖いのはボクかもしてない。






2006⁄02⁄20(Mon) 04:33   陶芸 | Comment(0) | Trackback(0) | ↑Top


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プロフィール

Author:どうしょう花
サラリーマン生活が残り一年になりました。
宮崎での単身赴任時代に始めた陶芸が十年になります。
昨年 年末に窯を持ちプロとしての環境が整いました。
サラリーマン生活を悔いのないように全力でラストランしたいと思います。
週末は、陶工への道にむかい励みます。
還暦前の老人が悪戦苦闘している日々を「どうしょう花」がエッセイにして毎週水曜日に掲載致します



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