陶芸に関する悪戦苦陶の話
先輩からのメッセージ(第十三話)


多摩川の土手の色が少しずつ薄緑に変わり始めた。多摩川の向こうに少し膨らんだ富士山を見ながら陶酔会の会場に車を走らせた。

有給休暇を頂き会場の当番をした。
ギャラリーが立川市の有名な料亭の敷地内に有りアマチュアの展示会にしては関係者以外の方のご来場がある。
ご来場頂いた皆さんから出展作品の素晴らしさに賞賛のお言葉を多く頂けた。

会社のOBで現在フリーの医療関係のライターをしている先輩にも案内状を出した。会社では広報部長の肩書きでコピーライター・広報誌の編集長を兼任していた広報界で有名な人物だ。

さっと会場を回られボクの作品の前でしばらく眺めておられた。
まず掻き落としの竹の子の大皿を観て自分の目で見て描いてないことを指摘された。
ボクの竹の子は 友人の絵葉書から写したもの。友人の絵葉書にはいつも感動し画材として使わして頂ける約束を交わした矢先のことだった。

「竹の子は画材として素晴らしい。今 旬なので八百屋さんで買って来て自分の目で見て描きなさい」とアドバイスを頂いた。
その他の感想はなく、もちろんお褒めのお言葉もなかった。

今年のトリノで行われた冬季オリンピックはフィギュアスケートの荒川静香の金一個に終わった。
競技の終わった日本のアスリート達から「楽しめました」と言うコメントを多く聞いた。

何か勘違いしているのではないかとボクは感じていた。競技場にお金を払って観に来たお客様を楽しませるのがプロではないかと思う。自分が楽しんでその向こうにお客様を楽しませると言いたいのだろうが少し違うような気がする。
荒川選手のコメントから「楽しみました」と言うコメントなかった。「自分の力を充分に発揮できるよ競技しました」と言う意味のコメントだった。高い目線で自分の目標を定めそれに向かって競技する姿にボクは感動した。
金を取ったからで無くもう一人の村主章枝の演技にも感動した。二人に共通した観客に一番良い演技を見せたいプロ魂が素晴らしいと感じた。

「週末しか作陶出来ないから」「まだまだアマチュアだから」「定年を迎える三年後には何とかなるだろう」と云う甘い考えを捨て、今後はもっと目線を高くしてお客様に感動して頂ける個展の開催に向かって作陶して行きたい。

後片付けを済ませ帰路についた時、辺りはすっかり暗くなっていた。多摩川を渡る頃、水平線の上 ボクの目線より少し高いとこで大きなお月様が金色に輝いていた。


DSCF0051.jpg







2006⁄03⁄16(Thu) 03:57   陶芸 | Comment(2) | Trackback(0) | ↑Top


Comment


展覧会は、いろいろな方の意見が聞けて、とても面白いですよね。

ドキッとするような事指摘されたり、ヒントになるアドバイス頂けたり、
・・・ありがたい場です。

僕は、自分の姿勢としては「楽しむ」気持ちは、絶対無ければいけないと
思っています。「楽しむ」ためには、常に次のレベルを目指すことになって
います。・・・何を楽しみ、何を面白がるかが、作家によって違い、
それは、必然であり、また、だから面白いと思っています。


2006/03/20 00:17URL | 一閑[ 編集]

ありがとうございます
一閑 様
楽しみながらの作陶は大切だと痛感致します。
ついつい自分のレベルを勘違いして行き詰っておりますがご忠告に従い楽しみながらやって行きたいと思います。
2006/03/20 22:17URL | どうしょう花[ 編集]

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プロフィール

Author:どうしょう花
サラリーマン生活が残り一年になりました。
宮崎での単身赴任時代に始めた陶芸が十年になります。
昨年 年末に窯を持ちプロとしての環境が整いました。
サラリーマン生活を悔いのないように全力でラストランしたいと思います。
週末は、陶工への道にむかい励みます。
還暦前の老人が悪戦苦闘している日々を「どうしょう花」がエッセイにして毎週水曜日に掲載致します



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