2016/09/12

TITLE:「 教えられる身になって学んだこと 

 ボクの通っている弓道道場は、稲城市の体育館にある。稲城市総合体育館は山の上にあり工房から自転車で30分ほどかかる。ほとんど自転車を押して坂道を登るのだが着いたときには汗びっしょり、体力の半分を消耗している。

 初心者は日曜日の午後稽古ができる。「本日休房」の札を工房の入り口に下げていそいそと道場に向かう。道場に入る前、道着に着替える。弓道の道着は白い上着に黒い袴、白い足袋。上座に一礼して入場すると有段者と思える方がスーッと寄って来て袴の着方が間違っていると道場の外に連れ出される。袴には前紐と後ろ紐があってこれが初心者には難解なのである。動画を見て完璧に着けているはずなのだが間違っていると言う。袴なんかズボンの仲間なので「まあ、こんなものでいいか」と思うのだが有段者の先生からみると違うらしい。ほとんど先生に着付けしてもらった道着姿で入場する。

 一番弱い八キロの弓を準備していると別の有段者と思える人がスーッと寄って来て弦と弓をチェックする。準備ができて巻き藁(藁で出来た的)に向かうとまた別の有段者と思える人がスーッと寄って来て構え方を指導してくれる。

 弓道は弓を引くまで歩き方から座り方など覚えることが多い。矢が的に当たれば良いじゃないかと簡単に考えているわけではないのだが最初から所作を細かく言われても覚えられるものでない。老体に鞭打ち坂道を上がって来て気力が薄れているところにいろいろな指摘が飛んでくる。矢を放つころには集中力がなく矢が弦からポロポロと落ちる。その頃になると何故か有段者が近づかなくなる。

 矢を一度も的に向かって引かないままボクは上座に一礼して道場をでる。体育館からの帰りは下り道。ボクは矢のようなスピードで工房に引き返す。

 工房に帰りボクは教えられる難しさを考える。陶芸教室を主催して全くの未経験者に器の作り方を教える。ボクは次から次に新しいことをしゃべっていることがある。今まで嫌な顔をせずボクの話を聞いていた生徒さんの中には全く理解できずに帰った人がいたのではないか。嫌な思いをさせたのではないか。初心者に教えるとき相手の理解度を見ながら整理して話さなければならないことを教えられる身になって改めて学んだ。

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